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数学

何だか「数学」日誌になりそうな勢いだが、私の専門なので、仕方ない。

数学というのは他の自然科学と異なり、自然界を対象としない。整数論は「数」を対象とするではないかという声が聞こえてきそうだが、「数」そのものがどこに存在するだろうか。1個のリンゴ、1個のみかんはあっても「1」というものはどこにもない。「1」という概念は相当の抽象化によって初めて獲得される。
このように自然界にモデルが存在することはあるが、純粋に理論によって構成される。物理や化学では理論と実際が合わなくなったとき、理論のほうを修正する。しかし、数学は「実際」というのがないので、理論が修正されることはない。理論の展開に誤りが発見されて、その部分が破棄されることはある。

数が自然界のモデルにのみ頼らないように、数を理論的に構成するということも行われている。ペアノという人がつくった公理がよく知られている。
公理1.1は自然数である。
公理2.自然数には「次の数」がある。
公理3.「次の数」が等しい自然数は等しい。
公理4.1を「次の数」とする自然数はない。
公理5.自然数の部分集合で、1を含み、すべての要素の「次の数」を含むものは自然数の集合である。
この公理5.が「数学的帰納法」の根拠になっている。

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2006年1月17日 22:56に投稿されたエントリーのページです。

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