朝日新聞が声欄で公衆電話をテーマに投稿を募集していた。その中に赤電話の話があったが、そこに呼び出し電話のことが書かれていた。これを理解できる人はある程度以上の年齢の人に限られるだろう。
私がこどもの頃はまだ電話はステータスシンボルで一般家庭にはなかった。学校ではまだ当然のように名簿がつくられていて、電話番号も載っていたが、ほとんどは「(呼)」がついていた。これが呼び出し電話の意味で、近所の電話を持っている家に頼んで呼び出してもらう。つまり、この電話はその家にあるのではなく、他人の家にあるので、「○○さんをお願いします」と呼び出してもらう。電話を受けた人はその人の家まで行き、電話がかかっていることを告げる。
他人を煩わすので、かけるのはそれ以外に手段のないときに限られた。急がないときなら電報という手段があった。余り頻繁にかかってくると電話のある家の人に嫌味を言われたりもしたようだ。
1970年頃には呼び出し電話は少数派に転じていたように記憶している。