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2006年2月 アーカイブ

2006年2月 1日(水)

整数の約数・倍数

さて、整数にまで拡げるとどういうやっかいなことを抱えるのだろうか。

素数を考えてみる。自然数だけなら、2,3,5,7,11,13,...となるが、素数というのはどういう数だったか。約数が1と自分自身だけ。
2の約数は?自然数だけで考えれば、1と2だけだが、整数で考えれば、1,-1,2,-2ということになってくる。この段階で既にやっかいになってきている。
実は1と-1は特別な数で、これをかけてできる数は同じとみなすことになっている。だから、1と-1は同じとみなすし、2と-2も同じとみなす。
1と-1がなぜ特別か。逆数がやはり整数だから。

この「みなす」ということをして、素因数分解(素数の積に分解)は1通りということになる。例えば、6=2×3=-2×(-3)は2と-2、3と-3を同じとみなすので、区別しないことになっている。

2006年2月 2日(木)

整式の約数・倍数

整式についても約数や倍数を考える。
因数分解は実は素因数分解に相当する。
だから、 x-1 や x+2 などは素数に相当する。
x2+x-2=(x-1)(x+2) と因数分解するのが普通だ。
しかし、実は (-x+1)(-x-2)=(2x-2)(1/2x+1) といった分解も可能。

整数の場合の1や-1と同じように特別な存在なのは0以外の数。
-x+1=-(x-1), 2x-2=2(x-1), -x-2=-(x+2), 1/2x+1=1/2(x+2) といったものはそれぞれ同じものとみなすのです。

こういったやっかいなことを回避するために数因子でくくるといったことを指導しているわけです。

2006年2月 3日(金)

因数分解

因数分解を教えるとき、通常は整係数(係数がすべて整数)の整式のみを扱う。
これはやっかいな問題を避ける意味もある。

実係数(係数が実数)にすると、「整式の約数・倍数」で扱ったような問題が出てくる。
2x2+8x+6=2(x+1)(x+3) という因数分解は実係数では、実は6=1×2×3のようなものになってしまう。
整係数ならば問題はない。

特別扱いするのは逆数も整式として扱うもの。実係数なら、1/2も整式になるが、整係数なら、整式にならない。だから、2は実係数では数の場合の1のようなものだが、整係数なら素数と同じ。

こんなやっかいな問題を悟られないようにしながら教えねばならないから大変。

2006年2月 4日(土)

今日本で使用されている暦は太陽暦だが、詳しくはグレゴリオ暦。

ヨーロッパでつくられた暦で、太陽暦の基本となったのはユリウス暦。これは4年に1度閏年を設けるもの。しかし、16世紀には春分が12日ほどずれていた。それを正すために当時の教皇グレゴリオ13世が改定したもの。

これは地球が太陽の周りを回る1年が約365.2422日なので、365.25日とするユリウス暦とは400年に3日ずれるため。そこで、基本は4年に1度閏年を設けるが、400年に3回閏年でない年を設ける。西暦で100の倍数の年は閏年としないが、400の倍数の年は閏年とする。近くは2000年は閏年だったが、2100年は閏年でない。今これをお読みのあなたがこれを体験する確率はどの程度でしょう?

2006年2月 5日(日)

2月

今使われている暦では2月だけ28日と短く、閏年の調整も2月で行われている。これはユリウス暦よりも前の暦に由来する。
元々のローマの暦では1年が10ヶ月で今の3月から始まっていた。英語での月の名前のSeptemberなどはラテン語に由来しているが、septemは7を意味しているし、octoは8、novemは9、decemは10を意味している。これらはその名残。
その後2ヶ月が追加された。だから、今の2月は当時の最後の月。最後の月で調整するのは自然なこと。
年の始めが今の1月になったのはさらに後のこと。

2006年2月 6日(月)

月の名前

日本語での月の名前は単純。数字に「月」を付ければよい。これは中国語でも同じ。恐らくは中国語からの輸入。

英語などの月の名前はラテン語に由来を求めることができる。今の9月から12月までは数字が入っていることは既に紹介した。どうも元々はそうだったらしいが、神の名が付いたものが残っている。

さて、今回取り上げたいのは今の7月と8月。JulyとAugustはラテン語ではJuliusとAugustus。前者はユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)、後者はアウグスツス。ユリウス暦のユリウスはシーザーのこと。自分自身を神の仲間入りさせたというわけ。

2006年2月 7日(火)

工芸展

これは工芸高校では最も重要な行事といっていい。

この1年間の実習の成果を見てもらおうというもの。
完全に期限が切られているので、生徒は必死になって作品をつくっている。それでも毎年、仕上がらずに展示予定の場所が空いているところがあったりする。

できるだけ多くの方に見ていただきたいというのと、昨今の安全確保の問題をどう調整するかが課題だが、受付で記名していただければどなたでもおいでいただける。

今週末の11日と12日。両日とも9時開始。終了は11日は16時、12日は15時。いずれも入場は終了の30分前まで。
大阪市立工芸高等学校

2006年2月 8日(水)

アラビア語

アラビア語を学ぼうと思っている。これまでにも何度か思って、学び始めたこと数知れず。

最大の障害は、あの文字。初めて思った時に比べれば、教材が増えていて楽にはなっている。何しろ初めてのときは発音もよくわからなかった。発音の仕方が書かれていて、それを読んだだけではよくわからない。

初学者用のテキストには母音を表す記号もついているが、通常は書かれない。つまり、基本的に子音しか書かれない。だから、知っていないと読めない。
この障害を乗り越えて、何とか次のステップに進みたい。

2006年2月 9日(木)

2月

2月も半ば近い。「2月は逃げる」というが、毎年実感する。
当然最も短い月ということもあるとは思うが、年度末ということで、何かと慌しく、追われるうちに終わるという感じだ。

2006年2月10日(金)

工芸展準備

いよいよ明日から工芸展で、今日はその準備。
私は普通教科なので、周辺の準備に関わっている。何かしら慌しく1日が終わった。

2006年2月11日(土)

工芸展

いよいよ工芸展が始まった。受付と警備の当番が当たった。
入場に際して記名していただくのだが、確実に記名していただくのと校内案内図の配布、といったところが受付の仕事。警備は、展示場所以外を重点的に巡回したりといったところが仕事。
その合間にクラスの展示場所に行き、更に合間を縫って他の場所へ。途中で知っている卒業生に会うと話をする。
といったことで1日が過ぎた。
明日も恐らく同じような1日。そして片付け。

2006年2月13日(月)

冬の吉野

冬の吉野に行ってきた。桜の名所として知られており、物好きだが、連れて行ってくれる人がいたので、ついていった。
幸い天気がよく、特に寒くもなかった。

2006年2月15日(水)

日本

日本(にほん、あるいは、にっぽん)というのがやまとことばではないということが意外と知られていない。
これは「ひのもと」に漢字を当てたもの。昔、日本は中華圏で中国語を標準語としていた。漢文が教えられるのもそのため。だから漢字を当てる必要があった。そして、その音読み、すなわち中国語名が使われるようになった。
中華圏の国では国名が中国語名になっている。韓国(大韓民国)しかり、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)しかり。さらにはベトナムもしかり。ベトナムは漢字では越南と書き、そのベトナム風音読み。今でこそ漢字を使わなくなったが、ベトナムも元々は中華圏で、中国語の影響は残っているらしい。
中国を除く中華圏で今も漢字がはっきり使われていると言えるのは日本くらい。北朝鮮は全く使わないし、教えない。韓国は公式文書では使われない。一時教えなくなったが、国民の反発で教えるようになっている。

ついでながら、英語のJapanは「日本」の中国語音が伝わったもの。「にほん」あるいは「にっぽん」と随分違うと感ずるかもしれないが、音読みにはいくつかあることを思い出していただきたい。「日」にも「にち」という音の他に「じつ」という音もある。これは伝わった時代が異なり、都も移ったため。だから、「じっぽん」という読みが採用された可能性もあるのだ。

2006年2月16日(木)

日本語の音韻

外国語を学ぶ際にも日本語の音韻について知っておくことは大事。
子音と母音とからなっているが、日本語の特徴の一つは音節が母音で終わること。例外は「ん」だが、これはちとやっかいな存在。

50音図の「行」は同じ子音で始まる音節。ただし、歴史の中で変化して異なる子音が混じっている行がある。
サ行では「シ」の子音が他と異なる。「サ」「ス」「セ」「ソ」「シ」と発音してみると、最後の「シ」のところで舌が動く。
タ行では「チ」と「ツ」。「タ」「テ」「ト」「チ」「ツ」と発音してみると、「チ」「ツ」のところで舌の触れる位置が変わる。
ハ行では「ヒ」と「フ」。「ハ」「ヘ」「ホ」「ヒ」「フ」と発音してみると、「ヒ」と「フ」のところでともに舌が動く。
ザ行では「ジ」と「ズ」。「ザ」「ゼ」「ゾ」「ジ」「ズ」で「ジ」「ズ」で舌がともに動く。
ダ行では「ヂ」と「ヅ」。この2つは「ジ」「ズ」と同じ音。

濁音はどうも古代日本語には存在しなかったのではないかと思われる。もしも存在していたならば、「仮名」が作られたときに別の文字が作られたであろうから。元々清音の子音が無声音で、濁音の子音がその有声音であったようだが、歴史の中で異なってしまっているものがある。
サ行とザ行。サ行では舌が触れないが、ザ行では触れる。
中でもハ行はかなり複雑。どうも元々はパ行の音であったらしい。これなら、無声音と有声音の関係になる。

「ん」には実は5つの音があり、それらを発音し分けている。
次に何も音が続かないとき、例えば「パン」
次にカ行、ガ行が続くとき、例えば「考える」
次にマ行、パ行が続くとき、例えば「とんぼ」
次に「チ」を除くタ行、ナ行が続くとき、例えば「反対」
次に「チ」が続くとき、例えば「とんち」
これら以外の音が続くとき、どの音かは確かめていただきたい。

2006年2月18日(土)

韓国のドラマ

今韓国のドラマを見ている。
スカパーで契約しているチャンネルなのだが、家族は分からないからと付き合ってくれないため、余り見られない。
時代劇で、王位継承をめぐる争いが描かれている。最近始まったところで、仕方がないから録画して見ている。日本語字幕つきで、やはり字幕を見てしまうので、付いていないほうが嬉しいのだが。字幕がないと、大まかな流れしか分からないが、学習にはその位がいい。ところどころ聞き取れると嬉しい。
朝鮮史を知っているともっと楽しめるのだろうが。

2006年2月19日(日)

春秋座

春秋座公演を観に行った。

最初が工芸で、春秋座の前明かりは低いので黄色と赤の箱に当たった光がまともに目に入り、強い明かりのときは目が痛かった。
次が滝川第二で、春秋座が歌舞伎の舞台にもなっているので緞帳を引き幕に変えて寄席の雰囲気を出していた。
両校とも照明のタイミングに時折ずれを感じたが操作は小屋任せ?

終わってから北白川を南下し、今出川を西に出町柳まで歩いた。
これまでも何度か京都に来ているが、いつも生徒の引率だったのでゆっくりできなかった。
今日ももっとゆっくりしたかったが近畿の常任委員会があったので朝から来ていて、この30分足らずの散策で我慢した。随分久しぶりで懐かしい光景もあったが変わってしまった光景が多かった。

2006年2月23日(木)

入試

今日は入試。
疲れた。

数学の問題

余り詳細を記すわけにはいかないけれど、少しだけ。
例年のとおり、証明問題が出た。

文章は正確を期す余りくどく、読みにくいが、長方形の各辺にその辺を斜辺とする直角二等辺三角形を付けた図とその長方形を平行四辺形に変えた図とがあり、後者の図を使って、三角形の合同を証明させるもの。問題を見たとき、図に見える正方形を使って3辺相等をいう答案が多いだろうと予想したが、そのとおりだった。しかし、その図形が正方形であるとは問題には書かれておらず、利用するなら証明しなければならない。証明抜きに利用すると全く得点にならない。

とにかく書かれていないものは証明しなければならないことがわかっていない。平行四辺形の隣り合う2角の和が180度だということは使えるのだが、それを断らずにいきなり角BCD=180度-角ABCなどと書くと減点。

この辺りが書ける限界か。

2006年2月24日(金)

入試

既に書いたように昨日は入試。
採点などがあって、昨日今日とはとても疲れた。
明日明後日が休みでよかった。体力を回復させなければ。
今学年末試験が併行して行われており、自分の試験の採点もある。今は入試のほうを優先させていて、初日に返ってきた答案の採点は途中で止まっている。

2006年2月25日(土)

無欲の欲

トリノ・オリンピックでようやくメダルを獲得した。
無欲の欲の勝利といえる。
これはいろいろな競技に当てはまると思う。演劇のコンクールも。妙に勝ちに行こうとすると演技に出てしまって芝居がぼろぼろになってみたり。

2006年2月26日(日)

鼻濁音

以前日本語の音韻について書いたが、鼻濁音に触れなかった。

ガ行の音には2種類ある。カ行の有声音である音(以下g)と、今回の鼻濁音以下ng)と呼ばれる音。
鼻濁音を使う地方と使わない地方がある。私は使わない地方で育ったので、どこで使うのかがよくわからない。
使い分ける人にとっては使うべきところでgの音を使うと汚く感ずるらしい。私はいろいろな言語に興味をもっているので、両方の音を使う言語もあり、何とか発音はできる。

逆に使い分ける人にとっては外国語の学習には障害となる。gの音を使うべきところでngを使ってしまい、通じなくなる。

私はngの音ではなく、gの音を使うところを覚えたほうが覚えやすいのではないかと思っている。
まず、語頭。数字の5。合成語で元の語が意識されている場合の後ろの語の頭。

前回書いたように、元々清音、濁音の区別は存在しなかったようなので、鼻濁音の発生など相当後だろうと思う。
京都にないようなので、これが標準の音とされたのは、明治以降に東京のことばをベースに「標準語」がつくられたからだろう。

2006年2月27日(月)

韓国の時代劇

CS衛星放送で韓国の時代劇を見ている。時代は秀吉の朝鮮侵攻の前。秀吉の使者も登場した。字幕なので、元の声がわかるのだが、秀吉が朝鮮(韓国)語を話すのでちょっと妙な気分。

大長今(邦題:宮廷女官チャングムの誓い)でも倭寇が登場。こちらでは倭寇は日本語を話していた。吹き替えではどちらも日本語なので、どうなっているのか分かりづらかったが、原音で聞くとよくわかる。これは今DVDを入手している最中(長く、安くないのでまだ全部は揃っていない)だが、NHKで放送されたものをDVDにしている。

「冬のソナタ」でもそうだったのだが、韓国のドラマは大体1回が70分。NHKは60分で放送している。つまり、毎回10分ほどがカットされている。「冬のソナタ」は韓国で作られたDVDも入手した。日本版よりはるかに安い。ただ、当然のことながら、吹き替えも字幕もない。原音のみ。

2006年2月28日(火)

「十」の読み方

日本語の数詞は基本的に中国語から輸入されたものを使っている。
もともとのやまとことばは、ひと・ふた・...つまり、「ひふみ...」と数えるときに使っているもの。これは現在では限られた使い方しかされない。

さて、タイトルに挙げた「十」だが、これは中国語から「じゅう」という音が入ってきている。旧仮名遣いでは「じふ」と書かれる。これは輸入されたときの音を写したもの。現代中国の標準音では音節の最後に来る子音は2種類しか残っていないが、輸入されたときにはpの音だったと思われる。以前にも書いたが、ハ行の子音は昔はpだったと思われる。そして、これが歴史の中で「じゅう」という音に変わってきた。

問題はこの次に他の語が続いたとき。例えば「十回」。今は恐らくほとんどの人が「じゅっかい」と読んでいると思うが、元の音が変化してきた中では「じっかい」となってきた。それが「じゅう」と変化した、単独での読み方に引きずられて「じゅっかい」という読みが発生したものと思われる。

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